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SS
描きたい病なので描いています。
続きにどうぞ。
 血を飲んだのはどれほどぶりだろう。

 唐突に訪れた喉の渇きに、名もなき吸血鬼は窓を飛び立っていた。闇を具現化して羽にしたものを羽ばたかせて森に降り立つ。動物の血を呑んでも物足りず、人間のいる己の町にとってかえす。その町は彼自身が治めており、皆は彼を神として奉っていたので血を呑まれる事に誰も抵抗しないのだ。他の吸血鬼のように同族にする事も無い為疎む必要も無かったのかもしれない。そして出会ったものから少しずつ血を得ようと考えていたのだが誰も視界に入らないまま帰途についた。
 物足りない思いで城に帰り暫く果物で渇きを癒していたが、唐突にすべてが堪えきれなくなった。それは目の前に現れた従者のせいだった。
「主、メシ……っ!?」
 茶色の髪を見るなり、吸血鬼はその喉元に齧り付いた。従者は訳もわからず痛みに顔を歪め、しかし黙ったまま主のなすがままになっていた。主の許可が無くては死ぬ事も許されないが、それを望んだのは従者自身だったのだ。
「痛、ぇっ!!」
 貧血でくらくらとしながら、従者が力なく吸血鬼の身体をおすと直ぐに主は身を離した。やっていることに気がついたのだろう。

 結局自分の喉を潤すのは血なのだ。友のものでも、従者のものでもいいのだ。やがてそれは彼らを殺すかもしれない。それでも私は生きなくてはならないのだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シリアスが略

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