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長文が書きたかったのですが
以前書いたものの続編を某所に出していたので
1話目と連作にしてここに置いときます。

暑いとやる気がでないです。
何か此処でしかかけないことを描ければいいんですが。
哲学的なことしか言わないので
つまらないし実にならない気がする。

明日以降は多分かきます。
ではどうぞ
 ぶっ殺してやりたいと思ったことはあるか。
 青年は丁度そんな気分だった。単に,ついさっき、劇場で虐殺を題材にした内容の演劇を見ただけなのだが、無性にそんな気分になった。特に自分が繊細だと思ったことは無いが、何故か今日見た内容は異常に不快を煽る内容だった。犯人役の人間が余りに邪悪に演じていた所為か、被害者役の人間が余りに痛々しかった所為か、もしかしたら脚本そのものが上手く仕組まれていたのかもしれない。本当に良く出来た内容で、知り合いの者が絶賛していた事に納得せざるを得ない内容であった。
 全く自分の気持ちに心当たりが無いので、もっと別の部分から答えを見つけようと一先ず考えてみる。ああ、そういえば昨晩から凶悪な殺人事件の話題が上っていたな。そんな気がする、言ったのは酒場で小耳に挟む程度の音量でしか聞こえなかった所為だ。周りの雑音がある中で自然に耳に入ってきた言葉の列が、耳について離れなかった。時間も正直、昨晩だったか、或いはその前の昼から聞いていたのかあまり覚えていない。少なくとも青年の記憶に残っているのは昨夜からあたりだけだ。
 内容は極単純だった。旅芸人一座が盗賊団に襲われ全員殺されたというモノだ。特に残虐でもなんでもない、よく聞く話である。それに加えて女が陵辱されるのも、男が拷問されるのもお決まりの手口だ。その中に知り合いがいるわけでもなかったし、いつものように、恐怖を覚えてから途端に記憶が薄れていく。一時だけ恐怖し、一時だけ怒り、己に降りかからなかった事を安堵して家路に着く。
 何故こんな不快になるのかよくわからない、が、途端青年は無性に何かを傷つけたくなった。しかし他の人間を、動物を傷つける気にまではなれない。何かを破壊したいのだが、破壊対象も見つからず、見つけたとしても壊す気にはなれないまま歩き続けている。
 『……ああ、ぶっ殺してやりたい。誰かを殺して笑っている奴を、嘆きを喜ぶ奴を、嘆く奴も、皆』
 破壊の理由は、胸のつかえが取れればいいという自分本位の理由であった。いやもしや一つの正義になる行為ではないか?周りから見ればそう感じてもおかしくは無かったが、彼は既に己の本能のみで考えていた。憂鬱な事件の噂を聞き、更に悪い事に憂鬱なものを見、それらが自分となんら係わり合いが無いからこそ破壊衝動に襲われる。もしも係わっていたならば明確な怒りや悲しみがあったに違いない。が、今の段階で明確な意思で大いなる意思を持っていると彼は思えなかった。
 青年は足を止め、視界に入ったものを見た。
 割れた硝子に人気の無い街。それから一人で歩く青年を、柄の悪そうな男たちが下品な笑いを浮かべながら見ている。的を見つけて喜んでいるらしい。笑いと動きで見当は付く。それから彼らは此方に歩いて来ている。
 青年はそっと硝子の欠片を手に取った。迷いも何も無い。迷う必要が何処にあるのだろうか。男の声がする。硝子の欠片を背に隠し、彼らは互いに向き直った。

 硝子の破片。これで人を殺せるだろうか。
 目の前にはニタニタを不快に笑っている集団がいる。他のものから金をとり、そして私腹を肥やしているのだ。いつもであれば不快にかんじ、できれば避けて通り抜けようとしただろう。だが今日は違っていた。たかが不良の集団といえばそれだけで済んだのに。旅芸人が姦淫されて殺された話から全てはじまり、そして舞台を見た彼は、無意味で残虐な感覚に支配されていた。
「いよう、ちょっとお金かしてくんねえかなあ?」
 お決まりの言葉にお決まりの表情。嫌になる。本当によく今まで耐えてきたものだ。
「お兄ちゃんきいてますかあ? あ、それともおねえちゃんかなぁ?」
 ああ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ。暴力と脅迫で人を支配しようとしている。青年は何も言わず彼らを睨み返した。だが相手はひるみもしない。それどころか挑発してくる。其の言葉は聴くまでも無い。
 硝子の破片を喉元目掛けて突きつける。
 多少の剣術や武術は心得ていたし、魔法は使えないが知識くらいはある。己が強いとは考えていない、だが感情は理性を通り超えて、それを引き裂いた。此処で返り討ちにあう程度の能力しかなかったとしても行動に動かしていたが、既にもう後戻りできない部分まで彼は来てしまっていた。硝子の破片は男の一人の肌を切り裂き、喉下に食らいつく。
「……退け」
 一瞬相手はひるんだが数で勝てると判断したのだろう、ナイフやダガーを携え怒りの咆哮とともに飛び掛ってくる。青年は不思議なほど冷静に彼らを見た。まず手ごろな棒切れを、彼らの攻撃から逃れながら拾う。硝子の破片は創をつけることが出来るが間合いに欠ける。それならば剣術で身についた動きを少しでも取り入れたほうがよっぽど強力だ。彼は拾った棒を構えた。
「やんのかこらぁ!!」
 其の気がなきゃそんなことしない。目でいって一気に間合いをつめる。

 家族仲は悪くないほうだと思う。だが父は無口で、母は機嫌が悪いと言葉で、遠まわしに彼をなじった。弟とはもう数年しゃべっていない。家族は団欒するが自分だけは端にいる。それを不幸とは思わない。思ってほしいとも思わないし、思う理由が無い。だが彼のなかには燻った、闘志というべきか、怒りのようなものはあった。それを唯一発散できるのは剣だったのだ。

 足元を払い一人目を宙に浮かせてたたきつける。そこから剣閃を流して横に一人払い、前に突いて三人目。瞬時の事でだれも訳がわからない。そして数人倒したところで相手には既に敵意は消えていた。
 棒を捨てて、青年は一人呟く。

「この町を、でよう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前半は被ってます。
後まだ続いてます。

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